「ウェルネスってヘルスとは違うの?」
「ウェルネス似た言葉でウェルビーイングっていう言葉もあるよね?」
と思っていたりしませんか?
「ウェルネス」という言葉はよく耳にするけど、その意味を明確に理解している方は少ないのではないでしょうか?
今回は当ブログのテーマでもある「ウェルネス」の歴史的背景やその要素、実践すると得られる状態などについて解説していきたいと思います。
ウェルネスとは何なのか?
- ウェルネスの歴史的背景
- ヘルスやウェルビーイングとの違い
- 多次元で語られるウェルネスの要素
ウェルネスの歴史的背景
ウェルネスの概念は古代から存在していましたが、現代にも通じる概念として最初に提唱したのは米国を拠点として活動していたハルバート・ダン医師です。
1961年にダン医師が定義づけしたウェルネスは、人間が置かれた環境の中で能力を最大限発揮できるようになるために、「精神的」「感情的」「身体的」「霊的」の4つの次元の向上を目的とする姿勢・行為(方法)です。
その後世界的に広まったウェルネスは、国家や文化によりことなる理解がされており、それぞれの地域において定義づけがなされており、明確にこれだということができませんが、共通する認識としては、
- 多次元的
- 連続的で時代と共に変化する
- 個人的で環境の影響も受ける
- 自己責任で取り組む
があります。
ヘルスやウェルビーイングとの違い
ヘルスはウェルネスを実践するための基盤とも言えますが、ヘルスが単に肉体的な健康を意味する言葉であるのに対し、ウェルネスは肉体的健康以外の精神的健康や人間の社会活動的健康も含まれます。
一方、「ウェルビーイング」は、「ウェルネス」を実践した結果の状態を指します。
つまり、「肉体的、精神的に充足感を得て豊かな人生を送っている状態」を指していると言えるでしょう。
多次元で語られるウェルネスの要素
1961年にダン博士が提唱した際のウェルネスの要素は4次元でしたが、米国で研究が進むにつれ、次第に6次元や7次元、はたまた12次元まで拡張する解釈まであるようです。
ウェルネスを単に1次元的に「広い意味での健康」とする解釈もみられたりしますが、私はミシガン大学の提唱する「8次元」の考え方がしっくりくると思っていますので、これをベースに解説していきたいと思います。
ではウェルネスの8次元の要素とはどんなものなのか?
それぞれ見ていきましょう。
※ノースウェスタン大学のWebサイトの情報をもとに解説していきます。
- 身体(Physical)
- 精神(Spiritual)
- 感情(Emotional)
- 職業(Vocational)
- 知性(Intellectual)
- 環境(Environmental)
- 金銭(Financial)
- 社会性(Social)
身体(Physical)
身体の次元では、運動、健康的な食べ物、睡眠の必要性を認識し、病気や怪我を予防したり、継続的な健康状態にあることを目指します。
具体例は以下の通りです。
- 自分の体がどのように、なぜ機能するのかを理解する
- 自分の外見を心地よく感じる
- 運動能力の向上を感じる
- バランスの取れた健康的な食習慣
- 飲酒は節度を持って、タバコは吸わない
- 睡眠不足、運動不足、ストレスが体に与える影響を認識する
- 食品や飲料、医薬品などが体に与える影響を認識する
- 身体的な健康を維持するために日常的な運動を行う
- 病気や怪我を予防するために医療相談を受ける
精神(Spiritual)
精神の次元では、道徳や倫理を含む人生の目的意識と意味を広げることを目指します。簡単に言えば価値観、人生観に関わる次元です。そのために宗教活動を伴うこともあります。
具体例は以下の通りです。
- 自分の価値観を探究する
- 自問自答を繰り返し、自分の価値観を明確にする
- 人生経験から価値観がどのように発展、変化するかに気づく
- 他人との価値観の違いに気づく
- 人生の意味を探す
- あなたの価値観に合う行動をとることで、誠実さを育む
- 生と死に関連する問題を探求する
感情(emotional)
感情の次元では、人生に効果的に対処し、満足のいく関係を築くことを目指します。
具体例は以下の通りです。
- 何を経験している時にどんな感情になるのかをもっと意識する
- ユーモア、喜び、恐怖、怒り、欲求不満、感謝、悲しみなど、幅広い感情を経験し、適切に表現する能力を身につける
- 周りに流されるばかりではなく、自己主張できる能力を身につける
- 健康的な自尊心を持ち、ポジティブな感情を育む
- ストレスや刺激、危機に対処できる能力を身につける
- 親密で愛情ある人間関係を築き、維持する
職業(Vocational)
職業の次元では、仕事においての充足感と、その仕事によって得られる経済的な豊かさの向上を目指します。
具体例は以下の通りです。
- 多種多様な職業につく機会を得ることを意識する
- 性別で判断される社会的役割などの、職業選択を制限する障壁に挑戦する
- 自分の興味、スキル、価値観などを反映した職業選択をする
- 自分の職業選択と、家族や友人など、人生の他の部分との関係性を認識する
- 仕事における主張と対立、フィードバック、時間管理、積極的傾聴、モチベーションの維持などにおけるスキルを身につける
知性(Intellectual)
知性の次元では、自分の創造性を認識し、知識とスキルを身につけることを目指します。
具体例は以下の通りです。
- 人生のあらゆる分野において、新しい経験やアイデアにオープンでいられるよう努める
- 作成、開発、分析、批判、集中、理解、評価、問題解決、予測、理解などの能力を向上させる
- 学問、勉強、時間管理、ストレス管理、メモ、リスニング、パブリックスピーキングなどのスキルを向上させることによって知的及び学術活動の有用性を実感する
- 生涯学習のために、学習と哲学に対する愛情を育む
環境(Environmental)
環境の次元では、充足した豊かな人生の基盤となる、快適かつ刺激的な環境を有することを目指します。
具体例は以下の通りです。
- 外部の環境が自分にどのように影響するのかを認識する
- ウェルネスの実現に必要なことをより効果的に実践できるように環境を再設計する
- 世界の生態系や気候の将来的な変動を懸念する
- 環境破壊への影響を最小限に抑えるようにする
金銭(Financial)
金銭の次元では、現在および将来において、満足のいく財務状況にあることを目指します。
具体例は以下の通りです。
- 投資やなど、自分の財産が自分のために働くよう管理する方法を学ぶ
- 予算、クレジットカード、口座、投資、退職基金などの管理方法を理解する
- 財務処理にかかるストレスを軽減する
- 短期的及び長期的な目標を使い分けて設定し、財産を増やしていく
- 財務処理をするのに時間と労力を費やしすぎないようにする
社会性(Social)
社会性の次元では、つながり、帰属意識、充実したサポート体制への感度を向上させることを目指します。
具体例は以下の通りです。
- 異なる性的指向、性同一性、人種、民族、宗教、社会的地位、経済的地位、人生経験などを持つ人々を理解し、受け入れる
- 親密な友情を築き、維持する能力を身につける
- 多様な個人やグループとの心地よい交流を持つ
- 様々なコミュニティの福祉に対する自分の責任を認識する
- セクシュアリティとジェンダーのステレオタイプ的役割の概念を理解し、自分にとってふさわしいと思えるセクシュアリティやジェンダーの役割を探究する
- 文化、国家などの世界的な課題と必要性の関連性を認識することで、「グローバル意識」を身につける
- 責任ある社会の一員として振る舞う
まとめ:ウェルネスの8次元を実践する上で大切なこと
ウェルネスの8次元の概要はお分かりいただけたでしょうか?
ちょっと小難しい言葉も入っていたり、抽象的すぎる表現があったりして、すんなり理解するのは難しいですが、その次元だけでなく、他の次元にも関係するような要素があるのが分かっていただけたのではないでしょうか?
例えば「精神」の次元における、『他人との価値観の違いに気づく』という具体例は、「社会性」の次元における『異なる性的指向、性同一性、人種、民族、宗教、社会的地位、経済的地位、人生経験などを持つ人々を理解し、受け入れる』を実践するきっかけになると言えます。
つまり、ある次元の要素が他の次元のウェルネスを実践する上でも必要になるなど、それぞれが関連性を持っており、どれかひとつのウェルネスの次元を満たすのではなくそれぞれの次元のバランスをとりながら自分にとってのウェルネスを追求していくのが理想だということです。
そして大切なのが全ての次元で完璧を目指さなくてもいいということ。
さきほど挙げた具体例を全て実践しようとはせず、自分にできそうなものを選んで実践していけば大丈夫です。もちろん、具体例以外の自分に合った方法を見つけるのもいいでしょう。
最終的に高いレベルを目指すとしても、手の届きやすい範囲の目標から段階的にに達成していき、その結果、理想のレベルまで達していた、というのが理想です。
最適なバランスというのは人それぞれですので、完璧にすることにこだわらず、自分の人生がより豊かなものになるよう、無理しすぎないように自分なりのウェルネスを追求していきましょう!
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