寒い季節の防寒着として、まず候補にあがるのが「ダウンジャケット」だと思います。
ダウンジャケットは普段着として街中でファッション性を求めて使用することもありますし、寒い季節のアウトドアを楽しむ際には重要な防寒着としての一面もあります。
今回は数あるダウンブランドの中でも、その防寒性とファッション性において近年特に人気が高まっている「NANGA(ナンガ)」のダウンについて解説していきたいと思います。
NANGA(ナンガ)とはどんなブランド?
- ナンガの歴史
- ナンガのブランドイメージ
ナンガの歴史
ナンガは、布団の産地であった滋賀県の多和田地区(旧近江町)にて1941年に創業された「横田縫製」という布団製造会社がルーツになっています。
その後数十年間、国内の大手布団メーカーからの縫製加工下請けを行なっていましたが、1988年、国内大手アウトドアブランドから寝袋縫製依頼があり、ここからナンガの主要事業であるダウンを充填した寝袋の縫製が始まりました。
その後、会社組織の改変や数回の社名の変更を経て、1995年に「株式会社ナンガ」が誕生しました。
「ナンガ」という名前はヒマラヤ山脈にそびえ立つ高峰ナンガ・パルバットに由来しているそうです。
この山は人喰い山として恐れられほど登頂が困難な山ですが、
“困難だからこそやってやろう、みんなが登らんとこをのぼったろう”
という思いが込められているそうです。
国内のアウトドアショップなどのPB(プライベートブランド)寝袋製造を続ける中、2002年にダウンジャケットを製造開始。(試作段階)2003年には初代「オーロラダウンジャケット」が完成、販売を開始しました。
ナンガのブランドイメージ
前述の通り、ナンガは当初は布団の縫製会社、そしてアウトドア向けの寝袋製造会社として成長してきましたが、2003年に「オーロラ」をリリースして以降、アウトドアフリークだけでなく、服好きの間でも広く知られるようになりました。
2019年に国内のセレクトショップ向けに出荷量を増加してからはダウンジャケットブランドとしてさらに認知度が増した気がします。
一般的にダウンジャケットに使われる羽毛の保温性を表すのに、FP(フィルパワー)が指標になりますが、500FP以上あれば高品質なダウンと言われる中、ナンガのラインナップは760〜860FPのものを使用しているので、ブランド全体として、「シーンを問わず使える高品質なダウンジャケットを製造しているブランド」というイメージです。
ナンガのダウンジャケットの特徴
- 使用されている素材とその保温性
- ナンガのダウン製品の耐久性とメンテナンス
- シンプルで着回しやすいデザイン
- 価格帯とコストパフォーマンス
使用されている素材とその保温性
ナンガは、ダウン製品専門ブランドとして立ち上げた当初から、「河田フェザー」のダウンを使用しています。同社は1891年創業の羽毛素材メーカーで、独自の羽毛試験項目を設け、品質管理を徹底しており、30年もの間ナンガ製品の品質を支えています。
ナンガが現在使用しているのは、河田フェザーと共同で契約した農場の水鳥から得られる上質なスペイン産で、衣料産業で最も多く流通している中国産のペキン種に比べ、羽毛の密度が濃く、ダウンボールが大きいので、高い保温性を誇ります。
その上質なダウンの洗浄に用いられる超軟水の地下水は、水の粒子が細かいので羽毛の隅々まで浸透して汚れやほこり、アカなどを極限まで除去します。
また、羽毛に傷のつきにくい特殊な方法で洗浄することによって、素材のもともと持つ高い保温性を保ちながら、さらに上質なものへと仕上げています。
ナンガのダウン製品の耐久性とメンテナンス
一般的にダウンジャケットの寿命は長くて5〜6年、短いものだと3〜4年と言われています。
ナンガのダウンは基本的に国内の工場で熟練の縫製技術によって製造されているので(一部を除く)、縫い目がしっかりしており、フェザーの飛び出しも同価格帯の他ブランドのものと比べて少ないでしょう。
また、「タキビ」シリーズは、表地に独自の何年素材であるタキビ生地を採用しており、通常の化学繊維の弱点である「焚き火」を楽しむことができるようになっています。
汚れがひどくなってきたら通常のダウン製品と同じようにクリーニングに出すのがいいでしょう。ナンガの公式サイトではダウンジャケットのアフターケアを受け付けており、ダウンジャケットの修理とクリーニングを申し込むことができます。
クリーニングのみの受付もしていますので、もし近所に信頼できるクリーニング店がないという場合は検討してみてもいいかもしれません。
シンプルで着回しやすいデザイン
ナンガのダウンジャケットは、一部のハイブランドのように派手すぎることもなく、デイリー使いやアウトドアの際に使いやすいデザインのものが多いです。
たとえば前述の「タキビ」シリーズは、コットンライクな表地なので光沢がなく、こなれた感じの着こなしにマッチします。
また、代表的モデルである「オーロラ」シリーズもシンプルでややマットな質感になっており、タウンユースからアウトドアまで使いやすいデザインになっています。
「オーロラ」などの主力モデルに見られる特徴が、ダウンを分割するキルトの縫い目が裏地の方にあるということです。
高価格帯のいかにも「ダウン」というようなモデルは表地に縫い目を出してポコポコと膨らんだ見た目を強調していることが多いですが、ナンガの表地はフラットになっていてフラットでシンプルなルックスをしているので着回しやすいのです。
価格帯とコストパフォーマンス
ナンガのダウンジャケットの価格帯は、今シーズン(2023-24FW)のラインナップでは4万円〜10万円弱くらいとなっています。
ダウンティーシャツやインナーダウンを含めれば、もっと安価なアイテムもありますが、ジャケットとなると上記の価格帯になりますね。
ナンガはもともと全ての製品を国内の工場で製造しており、高いクオリティをもった製品を4万円台から提供していたので、相当高いコストパフォーマンスを有していました。
しかし今年から余裕のなかった製造キャパを確保し、さらにブランドとして進化していくために、主力モデルの「オーロラ」の通常モデルの製造拠点をベトナムに移動。
ベトナムからはこれまでにも本社工場の方に研修生の受け入れがあったりして、製造のクオリティが担保されているからこの決断ができたのでしょう。価格帯は同程度ですので、同様のコストパフォーマンスを有していると思いますが、仕様が昨年のモデルと異なりますので、購入の際には少し注意が必要です。
そして国内では「オーロラ」と「オーロラライト」をそれぞれアップデートした上位モデルの「イブキ」と「ミカミ」をリリースしましたが、スペックからすると、やはり同価格帯のなかで飛び抜けたコストパフォーマンスを持ったモデルといえます。
ナンガ ダウンジャケットの人気モデル
- 各モデルの特徴
- モデルごとの使用シーン
各モデルの特徴
オーロラダウンシリーズ
ナンガの代表的モデルです。前述のように、今シーズンからノーマルな「オーロラ」モデルは製造拠点がベトナムになっています。それに伴ってリニューアルされており、サイズ感は前モデルよりもゆったりしたものとなっています。またアームホールも大きくなり、インナーの重ね着がしやすくなっています。
他にもネック部分が高くなっていたりしますね!
もしタイトな方が好みであれば、通常よりも1サイズ小さめを選択する方がいいでしょう。もしくは昨年のモデルを探してみるかですね。
どちらにしてもナンガ独自の防水透湿素材である「オーロラテックス」を表地に使用し、耐水圧20,000mm、透湿性6,000g/㎡・24hrsを誇るので、雨の侵入を防ぎ、ダウン内部の湿気も逃がしやすくドライで快適な着心地を維持することができるという点は昨年までのモデルから変わらぬ品質です。
充填されている羽毛はスペイン産のダックダウン(760FP)を使用。
「いつでも、どこでも、ちょうどいい」をコンセプトに作られている、万能モデルといえます。
また、「オーロラ」をアップデートした数量限定モデルの「イブキ」は日本で生産されており、裏地のキルティングが立体構造になっていることでより高い保温性をもつなど、こだわりが詰まったモデルとなっています。
オーロラライトダウンシリーズ
フライトジャケットをモチーフにデザインされた新機軸のダウンジャケットです。オーロラテックスよりも防水透湿性で優れた「オーロラライト生地」を使用しており、これはナンガの防水透湿生地の中でも特に優れた素材です。
また、ダウンの種類もノーマルな「オーロラ」をはじめとする多くのモデルに使用されているスペイン産ではなく、より少ない量でもっと暖かいポーランド産のグースダウン(860FP)を使用しています。
そのためアウターに軽さを求める方には特におすすめと言えるモデルです。
特別仕様の限定モデル「ミカミ」は「イブキ」と同じくキルティングにこだわりがあり、ボックスキルト構造を適切し配置した設計や、ステッチから熱が漏れないような縫製により高い保温性を維持しています。
タキビダウンシリーズ
改めて、コットンライクなポリエステル生地に難燃素材のアラミドを配合したナンガ独自のタキビ生地を採用しているので、焚き火を楽しむことができるモデルです。(※不燃ではないので注意)
充填されているダウンは、超撥水ダウン(770FP)を採用しており、雨天時にもダウンに水が染み込みにくく、保温性を保てるようになっています。
これらの特徴から、特にキャンプ時に活躍しそうですが、クラシカルなデザインとコットンライクなこなれ感は、ファッション性も高く感じます。
USダウンシリーズ
ナンガのラインナップの中でも最高クラスの暖かさを誇るモデルです。
オイルドコットンのような風合いを持つ軽量撥水素材の表地や、目を惹く裏地やフードの周りの配色が魅力的でタウンユースにもいい感じなのですが、なんと192gもの超撥水ダウンを惜しみなく充填しており(同じ超撥水ダウンを使用しているタキビシリーズの充填量は155g)、トップクラスの暖かさを誇るので、寒冷地の方に最適です。
適切にダウンを配置するキルト構造や充填量など、単純にFPだけでは測れない技術力の分で、最高の保温性を作り出しています。
発売までに3年の時間を費やして完成した力作です!
マウンテンロッジダウンシリーズ
マウンテンロッジシリーズはロッジやベースキャンプでの着用をコンセプトに開発された、軽さと保温力を併せ持つモデルです。
パッカブルタイプで軽量にするため、「オーロラ」などよりも充填されているダウン量は少ないですが、860FPの高品質羽毛を使用しているため、保温性は高いものとなっています。
表地はリサイクルナイロンを使用しており、「オーロラ」よりも光沢がありますが、その用途上、撥水性や強度に関しては劣る部分があります。
モデルごとの使用シーン
ナンガのダウンジャケットはシンプルなデザインのため、基本的にアウトドアでもタウンユースにも使えますが、特に「オーロラ」や「オーロラライト」はどんなシチュエーションでも使用できる万能モデルという感じです。
そして「タキビ」は特にキャンプなどのアウトドアに適したモデル、「US」シリーズは寒冷地にはもちろん、フードの周りの目を惹く配色などからタウンユースでの着用にも適している印象です。
また、「マウンテンロッジ」シリーズはロッジやベースキャンプでの使用を想定したパッカブルモデルで表地の強度や撥水性が他のモデルに比べて劣るため、登山やフィールドワークの際にはその上にシェルジャケットを羽織るなどした方がいいでしょう。
「マウンテンロッジ」シリーズは「オーロラ」よりも光沢のある表地でシンプルなデザインですので、タウンユースの際にはアウターとして着用しても問題ないと思います。
ユーザーの声
軽くて暖かいダウンが理想ですよね!
ナンガのオーロラダウンを着てしまったら他の防寒着には戻れませんね!
このタキビダウンのスタイルは物欲を刺激されてしまうんですよね…
これもいろんなシーンで使えそうでいいですよね。
流石の性能!
多少の雨ならば浸水することはなさそうですね!
今シーズンのオーロラは着丈も長くなっていますので、確認した上で購入しましょうね!
購入前に考慮すべきポイント
- サイズ感
- 予算とニーズに合わせたモデルの選び方
サイズ感
代表モデルである「オーロラ」のメンズにはS〜XLまでのサイズがありますので、それぞれサイズ感を見てきましょう。
サイズ | サイズ感 |
---|---|
Sサイズ | 身長170cm前後で細身の方にちょうどいいサイズ。 手を挙げた時に袖丈が若干短く感じるので、腕の長い方はMの方がおすすめ。 |
Mサイズ | 身長170〜175cmくらいで標準体型の方にちょうどいいサイズ。 175cm以上でも細身の方にはこのサイズがおすすめ。 |
Lサイズ | 身長180cm前後で標準体型の方にちょうどいいサイズ。 |
XLサイズ | 身長180cm前後でもオーバーサイズをお好みの方にはこちらがおすすめ。インナーをしっかり着込む場合にも適している。 |
それでも自分に合うか心配な場合は、ナンガのオンラインショップに『VIRTUSIZE(バーチャサイズ)』というサービスがありますので、ご自分の体型に関するデータを入力すると適したサイズを提案してもらえます。
無料で利用できるので参考にするといいでしょう!
予算とニーズに合わせた選び方
ナンガの製品にはインナーとして着用できるような「ダウンクルーネックトップス」のような製品もありますが、ダウンジャケットに絞ると、現在のラインナップの中で最もリーズナブルなものは「マウンテンロッジダウンジャケット」になります。
ナンガのダウンジャケットはフーディとスタンドカラーに分かれているものもあり、ダウンや生地の使用量の関係から、スタンドカラーモデルの方がリーズナブルになっています。
以下の表に価格と使用シーンをまとめておきます。
モデル名 | 価格 | 使用シーン |
---|---|---|
オーロラ | オーロラスタンドカラー:¥44,000 オーロラ(フーディ):¥47,300 イブキ:¥61,600 | アウトドア、タウンユースなど、場所を問わず着用できる。 |
オーロラライト | オーロラライトユーティリティ(フード脱着可能モデル):¥73,700 オーロラライトスタンドカラー:¥91,300 オーロラライト(フーディ):¥93,500 | アウトドア、タウンユースなど、場所を問わず着用できる。 通常のオーロラより軽量なので、よりアクティブなシーンに向いている。 表地の撥水性も高いため、小雨時にも対応可能。 |
タキビ | タキビ:¥74,800 | 表地に難燃性の素材を使用しているので、キャンプで焚き火を楽しむのに適している。 また、羽毛が超撥水ダウンを使用しているので、汗や雨でダウンが濡れて小さくなることも少なく、フィールドワークに適している。 着こなしによってはタウンユースも可能。 |
US | マゼノリッジ:¥49,500 ノーザンライト:¥88,000 | 最高クラスの保温性を持つので寒冷地での使用に最適。 超撥水ダウンを使用しているので、暖かすぎて多少汗をかいても心配ない。 また、マットな表地の質感とフード周りや裏地の目を惹く配色で、タウンユースでも魅力を発揮する。 |
マウンテンロッジ | スタンドカラー:¥41,800 フーディ:¥47,300 | パッカブル使用なので携帯しておき、ロッジやベースキャンプなどで使用を想定。 タウンユースのアウターとしても。 |
まとめ
- ナンガのダウンジャケットをおすすめできる方
- 購入時の注意点と購入できるところ
ナンガのダウンジャケットをおすすめできる方
解説してきたように、ナンガのモデルは全て高品質なダウンを使用しており、寒い季節の防寒着としてどんな方にもおすすめですが、ほどよくカジュアルで派手すぎず、落ち着きすぎない感じが、まだまだアクティビティを楽しみたい30代、40代の男子にマッチしていると思います。
また、基本的にシンプルなデザインながら、光沢感や表地の雰囲気などはモデルによって異なるので、ご自身のスタイルに合わせて選ぶこともできます。
タイトすぎず、ほどよくゆったりとしたシルエットも、本格的にアウトドアを楽しむ方にとってはちょうどいいサイズ感になると思います。
購入時の注意点と購入できるところ
ナンガのダウンジャケットは、公式オンラインショップはもちろん、ZOZOTOWNや楽天などの大手ECモールでも購入することができます。
楽天の一部ショップではデッドストックや逆輸入品を取り扱っていたりと、掘り出し物があるかもしれません。逆に最新モデルを確実に手に入れたければ公式オンラインショップがおすすめでしょう。
購入する際の注意点としては、前述したように今シーズンのモデルから1サイズアップしたようなゆったりめのシルエットになっているため、今シーズンモデルを選ぶ際はそれを考慮したサイズ選びが重要です。
昨シーズン以前のデッドストックなどを購入する際はジャストサイズで考えておいていいと思います。
同価格帯の他ブランドのモデルとは一線を隠すクオリティを実現している「NANGA(ナンガ)」のダウンジャケットで、寒い季節を乗り切りましょう!
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